Metallica 【72 Seasons】レビュー

難しいことはよくわからんが、とにかくいいアルバム

アメリカのメタル・バンドMetallicaの通算12作目のスタジオアルバム。2023年作品。

デビュー40周年をむかえた彼らの前作より約6年半ぶりの作品。最初に先行公開されていたLux Æternaが驚くほどキャッチーで陽性のナンバーだったため、発売を楽しみにしていました。聴く前は全12曲でトータルタイム77分、といつも通り長いな～と思いましたが意外にも今作はそんなにダレずに最後まで聴けました。これは大きい。なにしろ個人的に彼らの6作目以降の作品はアルバム1枚通して聴くのがしんどい・・・Reloadに至っては最初から最後まで通して聴けたことがないし、2枚組だった前作も通して聴いたのは2回くらい、その後は気に入った3曲くらいだけしか聴いてなかったし。

そして通して聴けるのはやはり内容がメチャいいから。曲もいいし音もいい。まさに世界で一つ、個性的なMetallicaらしいサウンド。Oneみたいな曲がないのは意外でしたが、かえってそれが良いのかも。ハイレベルで鋭い演奏と練りに練られた曲構成、40周年という節目もあり初期のスラッシュ期からそれ以降のヘヴィロック期までを総ざらいしたような集大成的な作品。刺激的でスリリングな雰囲気にゾクゾクします。そしてワウを多用したカーク・ハメット印のギターは相変わらず最高。貫禄すら感じます。

＃1. 72 Seasonsは一瞬変拍子？に聞こえるが実際はそんなことはない彼ららしいイントロのリフワークが面白い。こんなの普通は思いつかないよね。速くてスリリングでオープニングに相応しいクオリティ。7分40秒もあるがそんなに長く感じないかな。＃2.Shadows Followはこれも彼ららしいハードな曲。個人的には４枚目のアルバムを思い出す雰囲気かな。＃3.Screaming Suicideでテンポが上がってテンションアップ。イントロの流れが本当に秀逸。ヘヴィでスピーディ。

＃4.Sleepwalk My Life Awayはグルーヴィでヘヴィな曲。ロバートの存在感高し。イントロはEnter Sandmanっぽいかなと思いました。＃5.You Must Burn!はブラックアルバムのsad but trueっぽい曲。少しダレそうになりますｗ

＃6.Lux Æternaでは雰囲気一変。とにかく速くてキャッチーでわかりやすい曲。初めて聴いたときは驚きましたね。メタリカらしくないなぁって。でも勢いがあっていい曲です。カーク・ハメットのソロもいい感じ。＃7.Crown Of Barbed Wireではまたミドルテンポになりまた少しダレそうに・・・

＃8.Chasing Lightはこれも4ｔｈっぽい。サビのコーラスがかなり耳に残る。いいね、結構気に入りました。＃9.If Darkness Had A Sonはマーチングっぽいドラムから始まり、複雑な曲展開が面白いね。

＃10.Too Far Gone?はアップテンポでキャッチー。これまでなかったようなメロディーですよね。中盤のコーラスなんかすごいポップ。ツインギターのハーモニーも新鮮でいいです。＃11.Room Of Mirrorsはこれも軽快で＃10に通ずる雰囲気。アルバムのこの位置にこういう聴きやすい曲を連続で配置してるのは大きいと思いました。この曲はカークのギターがメロディアスで気持ち良い。散々言われてるが本当にThin Lizzyみたい。

ラストの＃12.Inamorataは11分越えの大作。終始ミドルテンポで重い雰囲気だがメロディーにフックがあり意外ととっつきやすい印象。前半ではどっしりと腰のすえた、中盤はハーモニー、後半はワウペダルをかましたらしいソロを披露しているカークのギタープレイが光る。やっぱ凄いギタリストだよね。今作で改めて実感。

いや、かなりいいアルバムだと思います。個人的にはLoad以降ではベスト（カヴァーアルバムのGarage Inc.はかなり好きですが・・・）。これぞMetallica！な＃1、＃3はもちろん、やっぱ＃6、＃10、＃11あたりのキャッチーな曲の存在が大きいかなと。なので最後までそんなに長く感じず聴けるし楽しめる。速い曲だけ聴きたい！って人はこの5曲だけでも十分満足できるのでないしょうか。でもトータル77分というのはやっぱり長いよなぁ。＃5、＃7あたりをカットすればさらに聴きやすくなって印象もアップするような気がしますが、彼らのヘヴィな曲が好き、という方も多いのでしょうから難しいですよね。好みは人それぞれ。