SIAM SHADE 【SIAM SHADE Ⅳ・Zero】レビュー

ついに大ブレイク！とにかく多彩な楽曲が魅力的な名盤！

日本のロックバンドSIAM SHADEの3枚目のスタジオアルバム。1998年作品。

先行シングルの1/3の純情な感情が人気アニメ”るろうに剣心”のエンディングテーマに使用され大ヒット。
70万枚に迫るセールスを記録し、一躍人気バンドの仲間入りを果たします。年齢の近い人にSIAM SHADEが好きだったと話せばほぼ100％「あー1/3ね！」と返ってきます(笑)。それぐらいSIAM SHADE＝1/3の純情な感情だけの一発屋みたいな印象が根付いてしまっているのがもどかしい・・・でもインパクトのあるタイトルもあってこの曲の知名度は非常に高いですよね。SIAM SHADEを全く知らない人もなぜかこの曲は知ってたりするんですよね。でも他にもいい曲たくさんあるんですよ・・・

今作はタイプの違う様々な楽曲が並ぶバラエティ豊富な作品。キャッチーな曲あり、ストレートなロックあり、ヘヴィなロックあり、バラードあり、インストありと非常に多彩。メンバー全員が作曲できるという強みを生かした質の高いアルバムです。似たような曲がないのでなかなか飽きません。SIAM SHADEの作品で一番バランスが良い作品なのではないでしょうか？
もちろん、ハイレベルな演奏とツインボーカルという彼らの武器はさらに強力になってます。

＃1.Dear・・・はのっけから泣きのメロディーが光るキャッチーな曲。ファンに向けた曲とのことで、後に行われたファンによる楽曲の人気投票でも不動の一位だったそうです。DAITAさんの甘いトーンのメロディアスなギターも素晴らしい。
過去2作はオープニングにハードな曲を持ってきていたため、やや意外なスタートですよね。

＃2.NO! Marionetteは疾走感抜群のストレートなロックンロール。でもイントロに変拍子が入ってたり一筋縄ではいかないのはさすが。大ヒットした＃3.1/3の純情な感情に続いてはハードでテクニカルな＃4.Bloody Train。でもサビはキャッチー。＃5.Money is King?はドラムから始まるノリの良いロックンロール。サビのコーラスがロック。ギターソロの締めのハモリも印象的。

＃6.誰かの気持ちを考えたことがありますか？はアコギから始まるバラード。心にささる歌詞と美しいメロディーが素晴らしい。ラストではバンドサウンドになり壮大なギターソロも聴きどころ。＃7.Virtuosoは初のインスト。変拍子の複雑な曲。改めてDAITAさんのテクニックに脱帽。＃8.if~ひとりごと~はポップでおしゃれな曲。この曲も地味だけど人気ありますよね。
＃9.Love Vampireは前作のWhy not?みたいなハードでファンクっぽい曲。サビのKAZUMAさんのコーラスのメロディーが大好き。＃10.PASSIONは先行シングルの高速ハードナンバー。でもシングルでは全然売れなかったんですよね・・・＃11.Shout outは超ヘヴィなハードナンバー。途中からテンポが上がる間奏がテンションあがります。ボーカルのシャウトが熱いね。以上、それぞれが違う個性を放つ全11曲。これは名盤でしょう。

ところで前作から今作の間にはPASSIONと1/3の純情な感情の他にもRISKという曲もシングルでリリースしていますが、この曲はなぜ収録しなかったんでしょうかね？この曲、切ないメロディーが彼らの作品でもトップクラスの名曲です。素晴らしい楽曲なのにアルバムに入ってないせいで知名度が低いかわいそうな曲。（後にベストには収録されました）。でもDear・・・とタイプがかぶるしな・・・アルバムの流れを考えたらしょうがなかったんでしょうね。

余談ですが、このRISKが発売された当初、あまりにいい曲なので「こりゃ売れるぞ！SIAM SHADEもついにブレイクだな！」と確信し友人にSIAM SHADEは必ず来ると自信満々に話してましたが全然売れずに愕然とした記憶が(笑)。次のPASSIONも全然でしたしもうブレイクは無理か・・・と諦めかけていたころに発売した1/3の純情な感情がまさかあんなに売れるとは・・・つくづくタイアップは重要だと思い知った青春の思い出です。

そういえばこのCD、初回盤はピクチャーディスク仕様なんですが、高校時代に友人に貸して借りパクされ、後に中古で買い直したんですよね・・・なので通常盤しかないんです・・・