Lostprophets 【Start Something】レビュー

作品には罪はない・・・よね？　

ウェールズ出身のロックバンドLostprophetsの2作目のスタジオアルバム。2003年作品。

ニューメタル系のヘヴィなサウンドを軸に、メロディーはエモっぽくもポップで聴きやすく、非常に多彩でセンス抜群の曲調が特徴だったバンド。日本でもサマソニでメインステージを任されるなど、かなり人気がありました。当時の雑誌のインタビューでメンバーが、「日本では空港、ホテル、どこに行っても熱狂的な女の子のファンがたくさんいて、まるでハリウッド・スターになったみたいだってメンバーみんなで大爆笑してたよ」みたいなことを話してた記憶があります。実際、メンバーはイケメンでしたし、メロディアスでわかりやすい楽曲はもろに日本人好みのサウンドでしたし。

2012年までに5枚のアルバムをリリースし、着実にバンドの足場を固めていました・・・
それがまさか、あんな事になるなんてね・・・
2012年、フロントマンのイアン・ワトキンスが複数の性的暴行などで逮捕、懲役35年の実刑判決を受け収監されました。これにより他のメンバーはバンドの解散を発表。「今後Lostprophetsの曲を演奏することは二度とない、また、イアンと話すことも二度とない」とブチ切れてます。そりゃそうだよ・・・

このイアン・ワトキンス、結構性格に難があるというか、気難しい人物だったようで・・・（日本版のwikiにも書いてある・・）彼の裁判についての記事を読むと、判決を受けても「みんななんでそんなに目くじらを立ててるのかわからない」といった内容の声明を発表したらしく、マジかよ？って感じ。
そういえばこの事件が起きるだいぶ前ですが、同郷ウェールズ出身のBullet for my valentineのマットが雑誌のインタビューで「あなたたちはウェールズ出身でもっともロックなバンドですね？」との質問に「間違いないよ。でも同郷のLostprophetsの連中からはお前らみたいなバンドは絶対に成功しないって何度もしつこく言われて頭にきたよ」みたいなやりとりを読んだのも覚えています。まあ、これはイアンが言ったかはわかりませんが・・・

しかし、彼の人間性はどうあれ、Lostprophetsの作品は本当に良く、素晴らしいバンドであったことは間違いないんです。特にこの2ndは名盤。1stアルバムではすでに才能の片鱗は見せていたものの、まだ荒削りな印象でしたが、2ndで大幅にレベルアップし、洗練された印象です。
1stはDJのスクラッチ音が入っていたり、ニューメタル色が強い楽曲もありましたが、今作ではなくなってますね。とにかくドラマティックで美しいサウンドで、メロディーが格段にキャッチーになってます。また、今作は曲間がＳＥでつながっていたり、アルバムの流れも素晴らしいですね。

とりあえず前半5曲の勢いがすさまじい。どれもメロディアスなのはもちろん、曲展開もスキなしのクオリティ。泣きのメロディーが文句なしの＃1.We Still Kill The Old Way、＃3.Last Train Homeにシャウトが熱い＃2.To Hell We Ride、分厚いバックコーラスが印象的なノリの良い＃5.Burn, Burnなど、どれもシングルカットできるような曲ばかり。

そして6曲目以降は勢いよりかはメロディー重視で落ち着いた曲が多いです。思わず口ずさんでしまうような歌メロのハーモニーが魅力の＃6.I Don’t Know、＃8.Goodbye Tonightの他、ミドルテンポでちょいダークな雰囲気の＃7.Hello Againもいいし、軽快でポップ色が強い＃11.Last Summerもよくできてます。

捨て曲なしの本当にセンス抜群な作品。そして次の3rd“Liberation Transmission”もかなりいいです。ただ、4、5作目は好きな曲はあれど、アルバムとしてはあまり好きじゃなかったですね。

ちなみに、逮捕されたボーカル以外のメンバーは新しいボーカルを迎えて新バンドNo Devotionを結成しました。最初のアルバムは買いましたが、イマイチでした・・・先行公開されていたStayという曲だけは気に入りましたが。それが2015年の話なので、まだ活動してるのかな？と思って調べてみたところ、なんと2022年9月に7年ぶりのアルバムがリリース予定との事。とりあえずサブスクでチェックしてみて気に入った曲があったら購入しようと思います(笑)。